『死霊の盆踊り』(1965)~時代を反映する裸祭~

B級映画紀行
出典:Pixabay
級映画紀行
この世には、まだまだ知らぬ映画がある。
いつ公開されていた?
なんでこんなのソフト化した?
なんでVHSしかないんだ!
そんな映画はたいていこう呼ばれている。
B級映画
漁るとキリがないこのジャンルの沼へようこそ。
死霊の盆踊り
原題
Orgy of the Dead
公開
1965年
製作国
アメリカ
監督
スティーヴン・C・アドストロフ
出演
クリズウェル
脚本
エド・ウッド
編集
ドナルド・A・デイヴィス
撮影
ロバート・カラミコ
車で事故ったカップルが目を覚ますと盆踊りが開催されていた。

ほのぼの感想&解説

まず本作はあの“最低映画監督”として名を馳せるエド・ウッド原作脚本を務めている。

当時のハリウッド映画には「ヘイズ・コード」と呼ばれる取り締まり法があり、性描写に規制がかけられていた。

そのため性的な行為を連想させる言動は取り締まりの対象となり罰金。

そこでその法をうまくくぐりぬけながら大量生産されたのが、

いわゆるヌードの女性が家事や意味なく何かをする、“ヌーディー・キューティー”と呼ばれるジャンル映画。

そういった意味では本作は貴重な映画。

といっても「ヘイズ・コード」1968年に廃止されたが、この映画が公開された1965年にはそれほど厳しくなく、名ばかりな法律へと緩まっていった時期。

そのため本作も法律制定当初ならアウトだろう。

裸の姉ちゃんで男を釣って儲けようとする映画なのでストーリー展開は期待しない方がいい。

カップルが車を運転していると事故って気絶。
目を覚ますと、墓場にいた。死んだのか?
と思っていると、宴の音楽が聞こえてきたのでその方向に向かう2人。
そこでは死霊の盆踊りが開催されていた。
月が沈む時間までの間、死霊たちは元気でいられるらしい。
貴重な時間を使ってこんなことし続けるなんて、よほど窮屈な生前を過ごしたのだろう。
いちいち次に踊る女性の紹介があり、まるでのど自慢大会のよう。
歌いだしで鐘ひとつ鳴らして強制終了してもらいたい。
持ち時間の長さはどうやら顔の良さで決まるようだ。
死んでも嫌な世界ねぇ~。
最初は服を着て登場するのに、次のカットでいつの間にか脱いでやがる。
一貫として下は脱がない。
これも「ヘイズ・コード」を意識してなのか。
おっぱい丸出しで踊るのが彼女らの流行のようだ。
大きさがみんな同じようだが誰の好みなのだろうか。
それぞれ特技を生かして踊る。
よくわからんことに途中で金色になる演出もある。
前年に公開された『007 ゴールドフィンガー』(1964)をやりたかったのだろう。
突然出てきた手下の狼男ミイラ男
突然雄たけびにしては聴き心地の悪い奇声をあげまくる狼男。
いよいよ主から赤髪女性の拷問を許された側近の女。
夜明けの時間が迫ってるぞと脅す主。
貴重な時間を削りカメラ前で謎の舞踊を見せる女。結構長い。
狼男覗きすぎ!変態!
そしてこっそり手錠を外した彼氏が邪魔しようとしたら即攻撃。
深いのは毛だけではないようだ。
こっからいよいよ物語が始まるんだとワクワクしていると…
夜明けが来て主人公カップル以外が骨になり突然の終わり。
いやあまりのドイヒーさに製作陣も気付き、打ち切ったんじゃないかという潔さすら感じられる。
この突如骨になる演出はエド・ウッドの得意技。
『プラン9・フロム・アウター・スペース』(1959)でも勿論やっている。
墓場の主人役の俳優さんのクリズウェル氏、カンペちらちら見るのが気になってしまった。
実はクリズウェルがセリフを覚えないため、カメラの側でカンペを出していたようだ。
彼は『プラン9・フロム・アウター・スペース』にも語り手として出演しているが、その時はしっかりカメラを見据えていたのに…老いのせいなのか、それとも慣れのせいなのか。切ない。
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明日自慢できるトリビア

クリズウェルが劇中で羽織っているマントは、凹フランケンシュタインの巻』(1948)でドラキュラ役のベラ・ルゴシが羽織っていたマントをそのまま使い回した。
クリズウェルの家族には葬儀屋がいたため、彼は棺おけを自分で供給し、撮影中にその中でうたた寝することもあった。
参照サイト: IMDb 

魅惑の深海コーナー

盆踊りの起源
お盆の時期である8月13日~15日は、死者の世界から先祖の霊が帰ってくるとされている。
そのため盆踊りは15日の夜から朝にかけて踊られるのが通例。
これには先祖の霊と共に過ごし、死者の霊を近親者が背負って踊ることにより、再びあの世に送り届けるという目的がある。
盆踊りは鎌倉時代が起源とされており、ただただ娯楽目的で踊られていた。
江戸時代から明治時代まで、盆踊りは“性の解放”として民衆によって踊られ、男女の出会いの場ともなった。
乱交まで行っていたというではないか。
そのため警察の取り締まり対象にもなっていた。
そういった意味で、『死霊の盆踊り』という邦題はかなり深いのではなかろうか。
それにハリウッドの「ヘイズ・コード」という規制が背景にある。
ただただB級映画で済ませてしまうのはもったいない。
いや、実はわたくしこの映画、1時間見てからどうしようか迷っていたことがあった。
それは、1.5倍速で見るかどうか。
あまりにも無言でずっと踊っているので退屈してしまった。
試しにやってみた。
おっぱいの揺れが激しくなり、たまに訪れるゆったりとした喋りも早まり丁度良くなる。
時間がない時におすすめである。

一言教訓

1.5倍速で見た方が効果的で効率的

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