80年代の容赦なき暴力に若干引きます
悪魔の毒々モンスター
マイケル・ハーツ
マイケル・ハーツ
マイケル・ハーツ
アンドリー・マランダ
マーク・トーグル
一言粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
ついに観れました!
大学生の時にトロマ社のYoutube公式チャンネルを登録して以来、そこでいつしかアップしてくれるんじゃないかって思って早数年。
まさかまさかのU-NEXTで配信されました。
どうしたU-NEXT!?
先にこのことを知らせてくれたのが、宇多丸さんがパーソナリティを務める『アフターシックスジャンクション』。
突然『トロマ特集』をするものだから、何故このタイミング!?と驚きました。
そんな待ちに待ちすぎたB級映画を代表する作品『悪魔の毒々モンスター』。
後にシリーズ化(計4作)されるカルト映画を生み出したのはトロマ・エンターテインメントという会社。
本作で監督を務めるロイド・カウフマンとマイケル・ハーツが1974年に設立。
カウフマンはイェール大学の出身という秀才っぷり。
秀才はおバカ映画を作ってこそですね。
『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(2006)や『ブルーノ』(2009)、『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』(2012)を製作したサシャ・バロン・コーエンもケンブリッジ大学出身。
主人公はスポーツジムで清掃員を務めるメルヴィン(演:マーク・トーグル)。
こんなにナヨナヨしい見た目の俳優さんをよく見つけてきましたね。
逐一おバカ面を強調したリアクションが面白い。
この作品、テンポ良すぎてコントを見ているよう。
メルヴィンをいじめるジムの常連たち。
町中の人々を轢き殺すというかなり悪趣味な遊びを連日行っている。
年齢問わず…。
まさかまさかの子供が撥ねられて、その後顔をぺしゃんこに潰される突然のグロ描写。
これはカウフマン監督が車をガレージから出そうとした時に、自身の妹に誤ってぶつかってしまった出来事から発想を得たそう。
幸いにも怪我はなかったが、記憶にトラウマとして数年間残ったとのこと。
容赦なき暴力。少し引きました。しかしこれがお気楽80年代ムービーなのであります。
新感覚な暴力を受け入れて楽しみましょう。
映画内で子供と動物が殺される以外の殺害描写は当然ながら映画史では大量にあります。
しかし私が苦手なこの2つの描写が本作には投入されているんですね。
参りました。
罪なきワンちゃん(盲導犬)がショットガンで撃たれるのですから。
しかしながら映画なので、そこも仕方ないと割り切って観続けました。
視点を変えると、殺しに間を与えない空間造りがうまいですねこの映画。
メルヴィンはいじめっ子集団の一員に弄ばれて、有毒廃棄物の入ったドラム缶に誤ってツッコんでしまう。
このドラム缶はトラックに積まれて運ばれている最中だったのですが、蓋もせずに中の緑色でいかにも危険な物質が見え見えになっている状態も可笑しいのです。
この展開は『バットマン』の宿敵ジョーカーと一緒ですね。
緑色って悪役にされがちだけど、苦悩で心を病んだ人々が多いので憎めないし感情移入しやすい。
グリンチ、ハルク、グリーン・ゴブリンなど。
さらに個性的なキャラクターも多い。
ヨーダ、シュレック、ジム・キャリーのマスク、マイク・ワゾウスキー、グリーン・ランタンなど。
有毒廃棄物に漬けこまれたメルヴィンが身体が燃えて腫れ上がり、変貌を遂げる。
この際の腕がぷくぷく膨れ上がる特殊メイクは魅力的。
ついに悪魔の毒々モンスター誕生。
声帯もやられたのか、太くて心地の良い低音ボイスに変わり、背丈も大きくなり厚みが増し、メルヴィン時代には無かった自信が湧きあがる。
見た目も個性的で元より格好いい。
彼は悪の道に進むのかと思いきや、町に蔓延る犯罪を無くすため奮闘するヒーローとして生きる。
登場シーンでいちいちかかるメロディがゴジラのテーマに似ていて笑いました。
ちなみにモンスターの中の人であるミッチェル・コーエンは、このコスチュームを身につけるのに4時間もかかったといいます。
そのため、その間はストローを使ってでしか飲食を摂ることができなかったそうです。
見るからにアホそうなファストフード強盗集団をカンフーアクションを意識した戦いっぷりで始末。
敵は自前のヌンチャクを使ったり、このお店、メキシカンを売りにしているのに何故か店内に刀が飾られているので、それを敵が使って攻撃してきます。
一方で毒々モンスターは武器は一切使わずに、両手をフライにしたり、口にミルク、アイス、ホイップクリームを流し込み、サクランボを添えて、最後に顔を糸ノコで調理して抽出したストロベリーソースを垂れ流してパフェを完成させるというユーモアも忘れない。
まるでメルヴィンとは別人。
他にも一見普通のおばあちゃんかと思いきや、実は裏で町を操っていたマフィアのババアを洗濯機の中に入れて回して殺すなどレパートリー多め。
そして80年代を代表するカルチャーであるエアロビも忘れない!
子供たちをひき逃げから救ったり、犯罪者を叩きのめして刑務所はパンク気味になり、気付けば町のヒーローとして奉られる。
町中で売られている毒々くんTシャツが欲しい。
ファストフード強盗から救った盲目のレディーと恋仲に。
目玉焼き食べ過ぎ。
これはロイド・カウフマン監督が俳優(酔っ払い役)として出演した『ロッキー』(1976)へのオマージュなのだろうか。
もともと『ロッキー』に携わったことで、友人のマイケル・ハーツとともに“ヘルスクラブ(トレーニングジム)”を拠点とした映画を撮ろうとしていた。
そのため当初の本作のタイトルはそのまんま『ヘルス・クラブ』であったという。
ちょくちょく『仮面ライダーアマゾン』感を出してくる見てはいけない奴を見てしまった気分に陥るダサい演出が私好み。
メルヴィン時代にいじめてきた奴らも始末して、町の悪の根源である汚職署長の黒いはらわたを文字通り掴みだし最後はハッピーです。
続編の2作目は何と東京に来てくれるので観るのが楽しみです。
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①子供の顔を轢いてぐちゃぐちゃにするシーンで使われた子供の頭には、コーンシロップと食用色素を付けたメロンが使われた。
②撃たれた盲導犬の傷口はスパゲッティを用いて表現され、しっかりと命令通りに横たわって静かに動脈を打つ迫真の演技を魅せた。
NJ映画日記Vol.27
ここでは最近見た私にとって良くも悪くもそんなに書くほどでもない映画を1つご紹介したりしなかったり。
この記事のタイトル映画とは一切関係性はございませんので悪しからず。
ジャンルくらいは合わせようかと思っています。
ただの筆者の日記です。
さらりと流す程度にご覧いただければ幸いです。
銃(2018)
ある日、殺人現場で銃を拾った大学生がその魅力に憑りつかれていく。
といっても深みのない狂気をもった者が持つ凶器は狂気が無く物足りない。
主人公の衣装やタバコを吸う様、モノクロ映像も、「これでよりミステリアスに見えるでしょ?」と言われているようで受け付けません。
これならカジュアルで内気な青年の方が、王道ではあるが狂気が入りやすく見応えがあったのではないでしょうか。
彼を取り巻く登場人物も薄っぺらい。
上辺だけの狂気ほどつまらないものはありません。
まったく毒々モンスターくんに毒されてほしいですね。