『アタック・オブ・ザ・キラートマト』(1978)~低予算映画の手引き~

B級映画紀行
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この世には、まだまだ知らぬ映画がある。
いつ公開されていた?
なんでこんなのソフト化した?
なんでVHSしかないんだ!
そんな映画はたいていこう呼ばれている。
B級映画
漁るとキリがないこのジャンルの沼へようこそ。
アタック・オブ・ザ・キラートマト
原題
Attack of the Killer Tomatoes!
公開
1978年
製作国
アメリカ
監督
ジョン・デ・ベロ
『アタック・オブ・ザ・キラートマト(短編)』(1976)
『リターン・オブ・ザ・キラートマト』(1988)
出演
デイヴィッド・ミラー
脚本
ジョン・デ・ベロ
コスタ・ディロン
J・スティーヴン・ピース
編集
ジョン・デ・ベロ
音楽
ジョン・デ・ベロ
撮影
ジョン・K・キューレイ
トマトが人間を襲ってくる話。

ほのぼの感想あるいは解説

“伝説のZ級映画”として私はこの映画の存在をずっと知っていたが、もちろんレンタルにもなかったので見る機会はなかった。
しかし何を血迷ったか、今年DVD&Blu-ray化されたのだ。
そしてU-NEXTにも追加されていたのでこの度ようやく念願の鑑賞。
…なんじゃこりゃ!!
これは衝撃。
ヒッチコックの1963年の作品『鳥』は脈絡もなく鳥の大群が人を襲う映画であった。
人々は笑った。
1975年の秋700万羽の黒い鳥がある町を襲い、どうやっても排除出来なかった。
もはや誰も笑わない。
このようなオープニングで本作は幕が上がる。
つまり本作のトマトも襲う理由なんてないのだ。
転がってきたトマトに人々が襲われる。
トマトには口も目もない、顔なしトマト。
つまりただのトマト。
しかも予算がないからトマトに襲われる描写はトマトは映さずに、殺られている演者の表情だけを映している。
デニーロもアルパチーノも驚愕の“究極のメソッド演技”だ。
ミニトマトから巨大トマトまでが人を襲う。
アメリカ全土でこの現象は起こっているのだが、シカゴ、ニューヨーク、どこどこと紹介される際の映像が、同じ人物を同じ場所で右から左へ、左から右へ逃げさせるという演出の手抜きっぷり(笑)
図書館ではニヤニヤしながら「トマト!!」といたずら好きのおじさんが突然叫び、周りの人々がパニックになる。
スーパーマーケットには気を付けろ!
完全なアウェイだ。
そんなトマトに対抗すべく最強チームが組まれた。
スキューバダイビングのプロ、ヒトラー風のアフリカ系アメリカンなどなど。
もはやツッコむのもシンドイ奴ら。
彼らはもちろん特に役に立たずチームは壊滅。
ヒトラーはリーダーの指示通りトマトに変装して潜入捜査。
たしかにゾンビ映画でもゾンビの肉体を身体に付着させて仲間だと思わせる作戦はあるけれど…トマトだぜ?
そんなこんなで偶然にもトマトの弱点を知ったチームリーダー。
『思春期の恋(Puberty Love)』という下手くそな歌が苦手だったのだ。
音痴なこの曲は人間側も苦手なので耳をふさいで球場で大音量でかけると、巨大トマト達は潰れていった。
しかし1つの巨大トマトだけは潰れていなかった。
その理由がヤバい。
そいつはなんとヘッドホンをしていたのだ!!
これは参ったなぁ。
自分のヘタで耳を閉じているのだから可愛すぎる。
これにどうやって対抗したか。
チームリーダーは何と『思春期の恋』の楽譜を持って見せつけたのだ!
そしてトマトは音は聞こえなくとも音符から果肉再生される音楽に身を滅ぼした。
こうして幕を閉じたトマト・ウォーズ
しかしラストシーンで安心して地から新たな命が“目”を出した。
ニンジンだった。
もはやこの映画を見る前の方が面白かったんじゃないかと思う自分がいる。
この世には見なくてもいい映画があることを思い知らされた。
しかし私は『リターン・オブ・ザ・キラー・トマト』に手を付けようとしていた。
恐るべしトマト!
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明日自慢できるトリビア

巨大トマトが着けていたヘッドホンは2つのトイレカバーで出来ている。
 そこだけいやに迫力のあったヘリコプターのクラッシュシーンは、実際に起きた予期せぬ事故でパイロットは軽傷を負った。
ヘリは6万ドルで借りたもので、予算の9万ドルのほとんどを占めていた。
『思春期の恋』という曲はマット・キャメロンという人物によって歌われている。
彼は後にサウンドガーデンパール・ジャムのドラマーになる男である。
意味もなくダイバーが公共の場の噴水で泳ぐシーンは、許可なく行われた無駄なゲリラ撮影。
なので周りの人々も驚いている。
ダイバーらしく後ろから潜水するのではなく、前に向きを変えてまで前から入るんかい!
巨大トマトはスポンジで出来ている。
キャストの多くは映画初出演であり、また多くにとって最後の出演作になった。
映画レビューサイト『ロッテン・トマト』の批評家の評価は27%で腐っている。

魅惑の深海コーナー

2016年に公開された『アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ』がドーナツが襲ってくる話であったように、襲ってくるものはなんだっていいのだ。
だって理由なんていらないんだもの。
そんなジャンル映画を創り上げたヒッチコックの『鳥』は罪深い。

一言教訓

スーパーマーケットは敵だらけ

参照サイト: IMDb

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