チンパンジーは味方につけたい
フェノミナ
フランコ・フェリーニ
ドナルド・プレザンス
『サスペリア』(1977)
一言粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
ダリオ・アルジェント作品にはいくつか共通点がある。
・美女しか入園できない女学園
・虫のアップ
・ウジ虫が湧く
・気持ち悪いものを確実に枠内で見せてくれる
・腐敗臭がしてきそうなショット
・地を這うように進むカメラワーク
・四谷怪談のような怖い顔の見せ方
・ガラスが突き刺さり血を垂れ流す美女
・人形で脅かす
・ゴブリンを始めとするヘヴィメタやパンクミュージック
いつも彼らの音楽がかかるタイミングが急で思わず笑ってしまうが、曲がかかれば一気に画面がMTVで流れてそうなMVに変わる。
主人公を演じるのはジェニファー・コネリー。
今のジェニファー・コネリーほど眉毛の主張が激しくなく凛々しい眉毛。
眉毛フェチにはたまりません。
虫は嫌いですが、ジェニファー・コネリーの眉毛が側にいれば怖いものはありませんね。
アルジェント作品の主人公の女性は孤独に闘うことが多いですね。
ホラー映画は登場人物が少ない方が緊張感が増して、かつ単純明快で気楽に楽しめるのでいいですよね。
この世には頭をスカスカにして考える必要のない映画も必要です。
本作は特に終盤に畳み掛けるように展開がドタバタ進むので面白いこと面白いこと。
でました、お得意の串刺し。
犠牲者は主人公にとって最大の味方である昆虫研究者。
そしてチンパンジーの相棒でもあった。
相棒を殺された恨みは大きい。
連続殺人鬼を最終的に退治したのは、ジェニファー・コネリーではなく、なんとチンパンジー。
それにしても殺人鬼の母ちゃんの渾身の首ちょんぱにあっぱれと言わざるを得ません。
それを超えてその直後の絶妙なタイミングでの登場にはスタンディングオベーション5分与えたい。
「ジェニファーの味方は虫だけじゃないよ!オラもいるよー」と言わんばかりの登場で映画の見せ場の全てを華麗にかっさらっていった。
哀しげな表情もお見事。
助演男優賞総なめですよこりゃ。
喜怒哀楽を使い分けるチンパンジー。
車に乗っかって追いかけるシーンもそうだけど、ラストシーンも『マックス、モン・アムール』(1986)を彷彿とさせます。
チンパンジーと女性の奇妙な愛を描いた映画ですね。
人間同士は嘘ばかりの関係だが、動物は解ってくれる。
といいつつラストの場面を撮影中、なんとジェニファー・コネリーはチンパンジーに指を噛みちぎられ、急いで病院に行く羽目になったとのこと。
幸いすぐに接着したおかげで元に戻すことができた。
あんなに可愛らしく見えたが、そんなに凶暴だったのかい!
いや、これは役に憑りつかれてしまったという結論に落とし前をつけようか。
その証拠として、しっかりトレーニングされていたにもかかわらず、撮影中に森に失踪する事件が発生したそう。
しかし探し始めて数時間後に見つかり撮影に戻ったとのこと。
役への葛藤が感じられますね。
(参照:IMDb)
久々にニコニコが止まらない映画でありました。
とにかくチンパンジーメインで語りたかったので、さくっとした記事になってしまいました。
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①英語で撮影されているが、イタリア語に吹き替えられている。
②本編15分あたりでジェニファーが話している母親に捨てられた話は、ダリオ・アルジェントの幼少期の実体験である。
③ジェニファーが背中からダイブした死体や幼虫の浮かぶプールは、断熱材と液状にしたチョコレートとミントの香料を用いて作られた。
このホラー映画を生き残る方法
犬や猫、できればチンパンジーと日頃から一緒に住んで信頼関係を築くことが準備段階ですね。
できるだけ2匹以上と暮らしたいものです。
1匹が餌食になる描写(動物なので直接残虐描写はなく、その後のカットで死体が映る)はホラーやSF映画なら定番ではあるが、2匹以上が同時に殺される描写は見たことがない。
さすがに猟奇殺人鬼も同じ時間に動物を2匹以上始末するのには罪悪感が芽生えるのである。
動物愛護団体という強き味方もいるのだから(?)、できるだけ多くのペットと暮らしたら殺人鬼の標的にはならないことでしょう。
まぁ、外出時を狙われたらもともこもないのですが。
あっ外出時も2匹以上連れて行けばいいのか。
大変な生活ですね。