自ら監督しても失敗するものは失敗します
地獄のデビル・トラック
パット・ヒングル
ローラ・ハリントン
一言粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
運命なのか、偶然なのか。
小さなことではあるが、私にはそう感じることが多く降りかかる人生である。
このひとつ前に書いた映画の記事が『ハロウィン3』(1982)なのですが、なんと今回の『地獄のデビル・トラック』の予告編で使用された曲は、『ハロウィン3』のためにジョン・カーペンターとアラン・ハワースが制作したスコアであった。
私はホラー映画の中に囚われているのかもしれない。
誰かに操られた人生を生きているのかもしれない。
そしてこうして気付かせたのもシナリオ通りなのか、それとも誰かがそのことに気付くように仕向けてくれたのか。
私の命もあと僅かかもしれない。
冒頭からスティーヴン・キング自身がちょこっと出演。
そう、本作はモダンホラーの帝王が監督を務めた唯一の映画である。
脚本も彼のオリジナル。
音楽は彼の要望でAC/DCに直接依頼している。
また、映画への出演も依頼したが丁重に断られている。
機械が暴走し始め、あちこちで事故が発生する橋のシーンは、『ファイナル・デッドブリッジ』(2011)を彷彿とさせる。
つらい死に方ですよ。
次々と身の回りの機械が勝手に動き出し人を襲う。
暴走の原因なのだが、地球の側を通った彗星の影響らしい。
冒頭にテロップで説明される。
その期間は8日間だそう。
そして機械と人間との死闘が始まる。
舞台は主にガソリンスタンド。
周りには何もなく、トラックしか止まらない辺ぴな場所だ。
機械に異常をきたしたトラックには絶好の舞台になる。
車が襲って来るといえば、同じくスティーヴン・キング原作を映像化した『クリスティーン』(1983)を思い出す。
あちらは1台だけに命が宿っているので回避はしやすいが、その車を愛用する持ち主の心を蝕んでいき人格を変えてしまうのがやっかいであった。
一方、『地獄のデビル・トラック』では、1台の車に備え付けられていた無人マシンガンが人々に乱射を繰り返して威嚇。
これ、まさか『ブレイキング・バッド』(2008-2013)のあのシーンに影響を与えているのでは!?
真実はわからない。
大型トラックがクラクションを鳴らしてモールス信号を送る。
“殺されたくなかったら給油しろ”
ボーイスカウトでモールス信号を学んだ都合のいい少年のおかげで給油に成功。
スパイダーマンの宿敵グリーン・ゴブリンをモデルに作られたというド派手なトラックと最終決戦を経て幕を閉じる。
思ったよりも見せ場はなく地味であった。
スティーヴン・キング自身、何故この映画以来映画を撮らないのかという質問に対してこう答えている。
「『地獄のデビル・トラック』を見てくれ」
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①スティーヴン・キングはこの映画の撮影中コカイン中毒であったことを認めている。そのため当時は自分が何をしているのか分からないときもよくあったという。さらに、いつか再び撮影することがあるのなら、その時はしらふで撮りたいと述べている。
②キングは『アンダー・ザ・ドーム』(2013)に関するインタビューの際、『地獄のデビル・トラック』が最も出来の悪い作品であることを認めている。
このホラー映画を生き残る方法
世界各地で機械故障による謎の事故が相次いでいるというニュースを聞いた時点で、発想を宇宙規模まで膨らまそう。
何が起こっても不思議ではないということを頭に叩き込み、その現象が起こった原因を調べてみる。
そうすることできっと地球の周辺を浮遊する彗星に繋がる。
映画では冒頭のテロップで説明されるが、現実となると自分で気付く必要がある。
日頃から柔軟な考えができるよう訓練しておこう。
そして彗星が地球の周りを浮遊している8日間は家から絶対に出ないことを心掛ける。
上記のことに気付いてしまった時点で残念ながら買い出しにはいけない。
自然災害への備えと同じく、普段から缶詰や水はしっかりと用意しておいた方がいい。
本作を見たらどれだけ車が危険なのかが分かるはず。
だからネット注文は控えよう。
あなたの気遣いが従業員の命を救う。
仕事先には、家の周りでも機械故障による事故が起きたといえば休めるはず。
ここで重要なことがある。
家に存在する電動で動く機械は、外に出たら危険なので事態が収束するまで何か丈夫な箱に入れて押し入れに収納してカギをして保管すること。
最後に車のガソリンを抜いておくこと!
魅惑の深海コーナー
俳優としてのスティーヴン・キング
俳優としてのスティーヴン・キングの出演作で最も名演技を魅せた作品といえば、キング脚本、ジョージ・A・ロメロ監督のオムニバス映画『クリープショー』(1982)の第2話『ジョディ・ベリルの孤独な死』であろう。
家の近くに落ちた隕石に触れて全身に苔が生えてきちゃう農夫を演じた。
ギョロっとした目が可笑しくも奇妙な雰囲気を増す。
動きもコミカル。
本人が楽しそう。