フィリピン
マニラでサバイバルの旅
2018年12月13日(木)
1日目Part1
マニラで宿無しオールナイト
旅の目的
滞在期間は2018年12月13日~15日。
危険だと聞いていたマニラは最終日のみ滞在するはずだった。
空港に到着後、バスでバギオに向かい、そこから世界遺産の棚田があるバナウェと鍾乳洞と棺がつるされているハンギングコフィンのあるサガーダに行くはずだった。
欲を言えばそれからスペイン統治時代の面影が残る世界遺産の古都ビガンを訪れるはずだった。
しかしこれらを自分の目で見て撮ることはなかった…。
1ペソ≒2.23円
1時30分
『ニノイ・アキノ空港』到着。
0時30分到着予定だったが、1時間遅れての到着。
この空港はターミナル1~4まであり、私はターミナル3。
トイレに行きさっそく入国審査に並ぼうとした時だった。
急に自分の名前が背後から大きな声で呼ばれた。
不運の始まり
私を呼んでいたのはなんと警備員。
ガタイがかなりいい。
ついにバレたか。
いやいや、今までに犯罪を起こしたことはない。
しかし彼は私の名前を呼んでいたのだ。
彼のもとへ行くと、なんと…
盗まれてもいいように日本の無印良品で買った安い日本用の青い財布を彼が持っていた。
あぁそういうことか…。
一気に冷や汗が出てきた。
なぜ名前を知っているのかと思ったら、
財布の中に入っているクレジットカードを見て呼んでいたのだ。
ローマ字表記されているものは唯一それだけだが入っていて助かった。
パスポートを見せ財布を受け取る。
彼は言った。
財布の中身を確認。
何もなくなっていない。
海外に行くときはトラベルポーチをお腹に巻き、
安全対策でそこにパスポートと日本用財布を入れている。
日本のお金や日本の身分証明書が入った超重要な日本用財布だ。
現地のお金が入った海外用財布はポケットに入れていた。
しかしそのトラベルポーチからパスポートを出したときに、
どうやら財布が引っかかって落としていたみたいだ。
しかしトラベルポーチにはもうひとつブツをいれていたのだ。
非常用に1万円札を別途に透明な小さな袋に折りたたんでいれていたのだが、
それがない!
その1万円札は財布を無くした時など、本当に困ったときに使おうと思っていたものだ。
今こそ、その時になろうとしていたにもかかわらず、その時用のものをなくす(苦笑)
引いた冷や汗が、瞬時の焦りによって再び舞い戻ってきた。
焦ってそのことを警備員に報告した瞬間に、彼が先ほど私を呼んでいた付近に目を凝らすと、
小さく折りたたんだ1万円札が落ちていた!!
あっぶっねー!!
少しでもタイミングが遅かったら他の人に拾われ宛先もないからさぁ大変。
もしそのまま落とし物行きとなっていたら公的な手続きをしなければならなかっただろうに。
ありがとう。
海外に旅に出ると毎度何かしらトラブルが起きるが、それを現地の人が救ってくれる。
自分の幸運さに感謝したい。
そして全てタイミングも味方をしてくれる。
完璧なタイミング。
台湾では途方に暮れ歩いている私を向こうから車に乗せて送ってくれたり、
タイではうっかりバスに忘れたカメラの捜索を、アメリカ人ツーリストポリスが助けてくれたり。
本当に幸運に恵まれている。
その警備員に感謝したく思わずハグをしたかったが、
目に入ったのは腰に装着している銃。
ここでハグをしていたら銃を盗ろうと勘違いされ、
きっと抹殺されていただろう。
そんなことより、
この財布紛失事件はマニラの洗礼にすぎなかった。
2時00分
手続きが終わりようやく入国。
1万円を4,555ペソ(≒10,157円)に換金。
増えて返ってくるのはありがたい。
飛行機が遅れることを特に推測はしていなかったのでここから予定が狂い始める。
外に出てタクシーを拾う。
外は暑かった。
マニラのタクシー事情は世界でも最悪だろう。
知ってはいるが、この時間にバスなど運行していないため仕方ない。
マニラのタクシー事情
・クーポンタクシー
あらかじめ行き先ごとに運賃が決められている。
その運賃が記入されたチケット(クーポン)に基づき料金を支払う。
エリアごとに設定された料金を支払えば、それ以上払う必要はないので安心。
料金は割と高め。
どのターミナルにもこのタクシーはいる。
・メータータクシー
空港を起点としているイエロータクシー。
空港以外の街中を起点に走っているレギュラータクシーの料金は安いが、
前者はやや高め。
近年は改善されつつあるが、メーターを使用せず、法外な料金を要求してくるドライバーもいるらしい。
メーターを使用していてもメーターに細工している奴もいるとのこと。
(参照:地球の歩き方)
マニラの洗礼
さぁどのタクシーにしようかな。
なんせ事前調べ時間がなさ過ぎて、
クーポンタクシーは安心、メータータクシーは危険、
ということだけ頭に入れていた。
『地球の歩き方』は重たいので必要箇所だけ写真にとってフォルダに入れておいた。
しかし後々あんなにもこの本のことを恋しく想うとはこの時は思ってもいなかった。
クーポンタクシー乗り場には少しばかり人だかりができていて並んでいるようだ。
しかしメータータクシー乗り場には誰も並んでおらず、手配スタッフが何人かいるだけ。
私は急いでいた。
バスに乗り、午前中にはバギオに着かなければならない。
そのバスに乗るため、空港からバスターミナルまで直行したい。
できる限り早く。
私に迷いはなかった。
なんとかなるさ。
海外ではこの根拠なき自信が仇となるので、“私は大丈夫だろう”とかいう謎の思いは抱かない方がいい。
気付くと私の足はメータータクシーブースに向かっていた。
男性スタッフに行先を聞かれると、しっかりとした書類に色々書き記し、受付の女性スタッフにそれを渡し、目の前に止まっていたタクシーの運転手にその男性手配スタッフが行先を伝えた。
私が乗り込む寸前にフィリピノ語で彼らが何かを話して奇妙な笑みを浮かべていた。
これは気を付けなければ。
コイツは確実にボッタくろうとしている。
覚悟を決め、戦いに備えタクシーに乗り込む。
こんなところで怯んでいてはこれからの過酷な旅などもってのほかだ。
そして恐怖のアトラクションが開始。
絶叫系って行列ができるほど人気なんじゃないの?
ファストパス取った覚えないけどなぁ。
そんな私はタクシーに乗り込むと、スマホのGoogle Mapを開いた。
GPS機能はWi-Fiがなくてもオフラインでも使うことができるので超便利なアプリだ。
ただ詳細を見たいのなら、日本にいる時にGoogle Mapから“オフラインマップ”をダウンロードしておかなくてはならない。
といっても無料だし、すぐダウンロードできるのでぜひ使ってほしい。
自分の行くエリアを指定してダウンロードするだけ。
そんな優れものを乗車中ずっと眺め、自分の位置を確認し、料金を増すために遠回りをしないか厳重注意していた。
すると案の定遠回りし始めたのだ(笑)
しかしここでツッコむのは少し違うかもしれない。
なぜなら私には現地の交通事情が分からないから。
いや、だから騙されるのだが、ここは我慢(笑)
なんせ運転手の人柄が良くて陽気なんでね。
マニラは渋滞が凄いんだとヘラヘラしてやがる。
渋滞のせいでは料金が上がっているのではない!
お前が細工しているからだぞ!
バレバレだぞ!
英語で会話をしているとこっちの英語を褒めてくる。
これには参ったね。
ホールデンみたいな言い方をしてしまったが、
奴にとっては当然英語ができない方がボッタクリやすい。
“クソ”と思ったに違いない。
そして次に、
Google Mapを見ていると彼はこういった。
そりゃ使えない。
使えない方が彼にとって有利だ。
しかし私には自分の現在地がわかる。
Google Map様様である。
私はそのことをアピールするため言った。
NJ
すると彼はニコニコしている。
そう、終始彼は笑っているのだ。
不気味だ。ラリッているのか?
それより今思ったが、明らかにメーターの動きおかしくないか??(笑)
ずっと回転してるぞ。異常な速さで。
そしてタクシーにしては、
なんかスポーツカーみたいにカスタマイズされていてかっちょいいじゃないか。
何かがおかしい、と異様な雰囲気が私を包む。
早くワテをゲットアウトしてくれ。
ワテはいつも念のためタクシーに乗ると運転手の証明書を写真に撮ることにしている。
万が一犯罪に巻き込まれたら大使館に助けを求めに行くためだ。
そして『パサイターミナル』到着。
メーターを見るとなんと732ペソ(≒1,632円)。
日本に比べればはるかに安いさ。
しかしここは物価の安いフィリピンだ。
しかもこの料金払えば、バギオまで行くことができる。
今から乗ろうとしているジョイバスの料金が730ペソ。
だから憤りを感じているのだ。
しかも事前に日本で調べたら、このバスターミナルまでおおよそ400ペソ(≒892円)で行くことができるそうだ。
はるかにボッタクリだ。
ここから始まった彼との最終決戦。
バスターミナルに付近についたのに、さらに近づこうとする運転手。
NJ
いや、ここで降ろしてくれ。もう場所は分かっているから。
ヘラヘラして前に進もうとする運転手。
腹が立ったので強硬手段でドアを開ける。
しかし再び動こうとした。
その時、メーターも動いた。
先ほどは732ペソだったが、今のワンステップで746ペソ(≒1,663円)に増加。
明らかに14ペソ(≒31円)分の動きではない。
もう我慢ならない。
NJ
(メーターを指さし)ヘイ!今の動きでまた上がったぞ!さっきここで降ろせと言っただろ!それよりメーター壊れとるぞ!こんな高いわけないでしょ。400ペソで行けるだろここまで。
ここまで繰り返しヘイヘイヘイを言ったことはなかった。
それをきいてもヘラヘラヘラし続ける運転手。
わずかに増した料金に気付いていないだろうとでも思ったのだろう。
そういうことじゃねー!
不正を許してたまるものか。
NJ
(換金したばかりで細かいのがなく、最低額紙幣が500ペソしかないため)私はこれしかもってない。
私は500ペソ(≒1,115円)紙幣を差し出した。
呆れた様子で納得した。
よし不正に打ち勝ったぞ。
まさかこんな小僧に負けるとは思っていなかったであろう運転手。
本当は400ペソのつもりで500ペソを差し出したのだが、
一瞬お釣りを待ったが出てこなかった。
さすがにこれ以上何か言うと命の危険もあるかもしれないので退散。
マニラの洗礼を受けたのであった。
2時51分
『パサイバスターミナル』の中へ。
かなり小さい待合室。
人は結構いた。
1時30分のには初めから間に合えばラッキーという時間だったので、
3時30分のチケットを購入しようとする。
しかし!!
まさかの満席。
次は10時。
終わった。
そんな簡単に諦められない。
他のバスでバギオに行く方法はないか聞く。
すると『クバオターミナル』というバスターミナルがあるらしい。
結構遠いようだ。
あぁそういえば事前調べで、そのバスターミナルの時間表も保存していたなと思いみてみる。
4時に6時に8時とナイスな時間の出発の便がある。
とりあえずそちらに向かおうか。
Google Mapを見ると、そんなに距離はないんじゃないかなと思い、
徒歩で向かってみるも怖すぎる。
何より車道のみで危険だ。
いや最大の恐怖はプンプン臭う治安の悪さ。
途中ですぐ引き返す。
するとタクシーが一台止まっていた。
またタクシーか。
とりあえず『クバオターミナル』はどっち方面か聞いてみる。
かなり遠いよと言うおじさん。
もうタクシーは懲り懲りだ。
この時は選択肢にすら入らなかったが、
フィリピン現地の乗り物である“ジプニー”という変わった乗り物がある。
存在は事前に知っていたが、
なかなかハードな乗り物で、
得体のしれないため乗ることはなかった。
最終日のあの時以外は…。
今思うとこれで格安に『クバオターミナル』に行けたに違いない(笑)
ジプニーはマニラの渋滞問題の原因ともいわれ政府に見直しがされそうな立場にある。
さっきの戦いでHPがゼロになった私は、
とりあえずすぐ近くにあった24時間営業のマクドナルドに避難した。
さすが世界のマック。どこにでもある。ありがたい。
Wi-Fiは残念ながら使えない。
ここで作戦会議。
もう北部には行くことができない。
夜が明けてからだと向こうで滞在できる時間が短すぎてただの往復になってしまう。
北部をあきらめたものの本日は車中泊のつもりだったので、宿泊先がない。
写真に撮った地球の歩き方とGoogle Mapを見ていると、
どうやらこのすぐ近くに電車の駅があるようだ。
ひとまず安心。
しかし始発は5時ごろ。
とりあえず駅の場所を確認しに行く。
深夜でこれだけ人が群がっている地域も中々ない。
騒がしい街。
そして汚物的オイニー。
刺激臭をかき分け夜のマニラをさまよう。
帰国後知ったのだが少し北部に行くと、
どうやら“東洋一のスラム街”と呼ばれるトンド地区があるらしい。
クレイジージャーニーで丸山ゴンザレスさんが訪れていた場所だ。
臓器売買やドラッグ、銃の密造など犯罪が蔓延る場所。
3時51分
駅の場所を確認した私は、
先ほどとは別のより駅に近いマックでしばし休憩をすることに。
かわいらしい女子店員がいた。
コーラフロートを注文。
35ペソ(≒78円)
大きいのに安い。
やはりマックは落ち着く。
2階で休憩。
私以外に人は一人だけ。
5時00分
私は『EDSA駅』から翌日に宿泊予定のホテルに向かうことにした。
全てが狂い、目的は早くも達成できないことになったが前向きに行こう。
Bプランを用意しておくべきだった。
次回予告:マニラ湾で朝日をみよう。
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