『ハッピー・デス・デイ』(2017)~嫌われビッチの変貌記~

ホラー
出典:Pixabay
映画を見れば誰かと共有して話したくなる。
しかし話す人がいない。
そんな映画愛好家は世界中に山ほどいることだろう。
私もその一人。
そこで私は独自の感想をネタバレ含んでただただ長々と述べる
自己満駄話映画コーナーを創設した。
お役に立つ情報は一切なし!
しかし最後まで読めばきっとその映画を見たくなることでしょう。
さぁ集まれ映画好きよ!

今宵の映画は…
NJ
NJ

この子、周りの人に恨まれすぎです。

ハッピー・デス・デイ

原題
Happy Death Day
公開
2017年
製作国
アメリカ
監督
クリストファー・B・ランドン
『ゾンビワールドへようこそ』(2015)
出演
ジェシカ・ローテ
『ラ・ラ・ランド』(2016)
『500ページの夢の束』(2017)
イズラエル・ブルサード
『ブリングリング』(2013)
脚本
スコット・ロブデル
製作会社
ブラムハウス・プロダクションズ
編集
グレゴリー・プロトキン
『ゲット・アウト』(2017)
音楽
ベアー・マクレアリー
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)
撮影
トビー・オリヴァー
『ゲット・アウト』(2017)
何者かに殺される誕生日を何度も繰り返す女子大生の話。

ほのぼの感想&解説

まずは永遠にループするツリーの誕生日が、どんな日だったかを説明していこう。
9月18日の月曜日、ツリーは父親からの電話の着信音で目を覚ます。
電話には出ない。
着信音が誕生日を祝う曲。
わざわざこの曲に設定したのか?
まぁそれはおいといて、目を覚ますとそこは見覚えのないベッドの上。
声を掛けてきたのは知らない男。
彼はカーターと名乗る。
ツリーは昨夜パーティーで飲みまくって酔い潰れ、カーターに連れられ学校寮の彼の部屋にお泊り。
そしてカーターの友人が、「昨日の尻軽女とどーだったんだ?」と部屋の扉を開ける。
「ふざけんな」とカーター。
部屋から出て行くツリー。
学校を出ると、地球温暖化の防止活動への署名を求めてくる女子。
スプリンクラーが水を噴射し濡れるカップル。
ラリって倒れる男子。
「なぜ返信してくれないんだ」とツリーに好意を持っている青年が話しかけてくる。
誰あんた状態のツリー。
とにかく二日酔いで体調が悪く機嫌が悪い彼女。
自分の部屋に戻ると、ルームメイトがロウソクをさしたカップケーキを用意してくれていた。
それを目の前でゴミ箱に捨てる最低なビッチっぷりを見せるツリー。
ツリーが校内で所属するフラタニティーはイケイケで美意識高い系女子集団。
つまりビッチーズ。
その中のトップに君臨する、うるさい女が食制限について語る。
中身のない薄っぺらい人間だ。
その後、中年の教授に会いに行きキスを交わす。
不倫真っ最中の教授のもとに奥さんがやってくる。
かろうじてバレずに教授の部屋を後にする。
夜中パーティーに向かうべく、人影のないトンネルに入ると、そこにはバースデーソングを鳴らすオルゴールが。
突然、大学のマスコットキャラの仮面を被った何者かに襲われナイフで刺されるツリー。
そしてあの誕生日着信音で目を覚ますツリー。
再び同じ1日が始まる。
というのが基本の流れで、ここから殺されないために奮闘、なぜ同じ1日が繰り返されるのか、そして犯人は誰なのかを探るミステリーです。
殺人要素を除けば、あの名作映画と全く一緒です。
そう『恋はデジャ・ヴ』(1993)
先に結末を言うとループを脱して翌日19日を迎えるわけですが、劇中最後でツリーの話を聞いたカーターが「君の話、恋はデジャ・ヴみたいだな。」って言うシーンがあるんですよね。
つまり、本作はあの映画の要素を取り入れましたという感謝の表明でしょう。
『恋はデジャ・ヴ』『ゴーストバスターズ』(1984)でスターになったビル・マーレイが主演を務め、現代に至るまでレンタルビデオ店なんかのオススメ映画によく連なっている名作である。
『ハッピー・デス・デイ』同様に、同じ1日を繰り返し、自己中なダメ人間が態度を改めて変わっていく姿を描いている。
ダメ人間を演じたらピカイチのビル・マーレイのだらしない演技も最高の一品。
こういったタイムループものって、都合がいいことに自分以外の人は同じ1日を過ごしていることに気づいていない。
そうすることで、“俺なんか悪いことしたっけ?”
と誰かに監視されているかのような試練を受けている感覚に陥る。
日常においても普段と違う違和感を覚えたら何か自分に原因があるのかと疑った方がいいかもしれない。
誰もループに気づかなかったら話は進行しない。
そこで映画制作側はダメ人間やあまり賢くない人に“気づき”を与える。
その逆の人たちだったら、その無限の時間を知識量を増やすのに費やす可能性があり、率直に映画として面白くない。
勝手にしやがれって感じ。
最近ではトム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)が、
アクション版『恋はデジャ・ヴ』であった。
『ハッピー・デス・デイ』の面白さは大きく分けて3つある。
①ループに対しての主人公の対応と心情の変化
②青春要素
③犯人との直接対決
どうすれば次の日を迎えられるのか主人公ツリーが策を練る。
1日しか記憶のもたないカーターに全て打ち明け、思い当たる犯人を全員書き記してと言われるが…思い当たる人が多すぎる!
相当恨まれてんなこの子。
それもそのはず。
一言でいえば“ブロンド美女のビッチ”だ。
ホラー映画で割と早めに殺される系統の女だ。
思い当たる人全員をそれぞれ跡をつける。
毎日なんで返信くれないんだと言ってくるガタイのいい青年の部屋を覗くと、
ゲイもの動画をみて自慰をしているところを目撃してしまう。
彼は強がって自分に素直になれなかったのだ。
次の日、いや同じ時系列の次の日、ツリーは彼に正直になるように伝える。
劇中では笑える場面だが、次のループでは再び忘れているからやっかいだ。
面倒臭くなっちゃって全裸で校内を歩き回ったり、突然ガールズポップが流れ、軽く踊り出すといったコミカルな要素も多い。
とあるループの時に、彼女は今までの自分の酷い行いを懺悔しながら、周りの人たちに親切にして過ごすことに決める。
すっぽかしていた父とのご飯の約束にも出向き、死んだ母のことなどを話し感動ムードに。
学校のカースト制度の頂点に点在するブロンドビッチが丸くなった。
しかし、その夜もいつも通り殺されるのであった。
こんなに優しくしてやったのに、なんで殺されるんだと意気消沈。
自分大好きイケイケオシャレブロンド美女が丸くなる映画といえば『クルーレス』(1995)
だいたいこの手の痛くて鬱陶しいビッチは、主人公を嫌う脇役に配置されることが多いのだが、『クルーレス』では主演アリシア・シルバーストーンがその役を好演し、その後の『キューティ・ブロンド』(2001)などの“金持ちブロンド美女ビッチの価値観変わるコメディ”の先駆けとなった。
そんな要素が『ハッピー・デス・デイ』にも受け継がれている。
殺人鬼と戦うに当たって、カーターはツリーに協力的で、かつ優しさや勇敢なところを見続けたことで彼に惹かれていく。
そしてある時…彼は殺されてしまう。
ついにツリーは犯人を暴き、そいつをいつでも殺せる優位な状況下。
しかしこのまま奴を殺したら、ループから脱し、次の日を迎えてしまう、そうカーターが死んだ次の日だ。
このままでは彼が蘇らない。
迷わず、「また会おう」と殺人鬼に告げ、首吊り自殺。
目を覚ますといつものカーターが。
抱きつくツリー。
かっけーーーーーーー!
もはやこの時点でツリーに夢中な私。
共に奴を倒そうではないか!
殺人鬼が誰なのかというミステリー部分と、スリリングながら愉快に進む展開は、80年代に全盛期を迎えたスラッシャー映画”を彷彿とさせる。
しかしあまりに大量生産されたそのジャンルは、90年代に入ると飽きられてしまった。
90年代後半、1本の映画がこのジャンルを再燃させた。
スリリングで笑える仕掛けをふんだんに取り入れ、ホラー映画好きのツボを押さえたキャラクター作りがこの時代の若者には新鮮さを与え、往年の映画ファンにはノスタルジックな気分にさせたウェス・クレイヴン監督の『スクリーム』(1996)である。
『ハッピー・デス・デイ』クリストファー・B・ランドン監督は、本作を参考にした映画の一つと語っている。
2019年に公開された続編の『ハッピー・デス・デイ 2U』は、個人的に1作目ほどの緊張感や疾走感が感じられなかった。
完全なSF映画へとなり、汗ばむホラー要素も少なく、犯人にも驚きを感じない。
しかし主役のジャシカ・ローテの同じ毎日に嫌気が差す演技はさらにパワーアップしており、この人の魅力もこの映画の面白さの要因である。
しかし『スクリーム』のように長く続くシリーズにはなってほしいし、ずっと見ていたい作品だ。
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明日自慢できるトリビア

ツリーが通うベイフィールド大学のマスコットキャラであり、殺人鬼が被っているマスクをデザインしたトニー・ガードナーは、『スクリーム』のあのマスクをデザインした人である。

ランドン監督は自分でベイビーマスクをつけて、自身のオフィスで働くスタッフを驚かすテストをして演出を確かめた。

カーターがツリーの誕生日を祝うシーンは、“青春映画の父”ことジョン・ヒューズ監督『すてきな片想い』(1984)のラストシーンのオマージュである。

ツリーが裸で大学を歩くシーンは、実際の大学で撮影された。

しかも実際の学生たちが通っている時間帯であったため、彼らに見られないように、写真や動画を撮影されないように厳重体制で、2、3テイクで早撮りされた。

このシーンの撮影スタッフは全員女性であったため、ツリー役のジェシカ・ローテは演じたという。

一言教訓

日頃から周りには優しくしましょう。
参照サイト: IMDb

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