僕の存じ上げない悪魔のいけにえ一家
悪魔のいけにえ
レジェンド・オブ・レザーフェイス
キム・ヘンケル
マシュー・マコノヒー
ロバート・ジャックス
トニー・ペレンスキー
ジョー・スティーヴンス
リサ・ニューメイヤー
タイラー・コーン
ジョン・ハリソン
ジェームズ・ゲイル
マリリン・バーンズ
一行粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
本作は、いつも通りだけれどもなんだかいつもと違う『悪魔のいけにえシリーズ』。
なんせレザーフェイスが女の子みたい。
『テキサス・チェーンソー』のくせにチェーンソーで誰も死なない!
これはシリーズ8作品のうち4作目の本作のみ!
レザーフェイスは常々女装しており、やたらと叫び散らして情緒不安定なのでちょっと鬱陶しいです。
このシリーズってやっぱりチェーンソーの音を爆音で聞いてヒヤヒヤするのが楽しみの一つなのですが、本作はチェーンソーよりもレザーフェイスの叫び声が勝っています。動きもギャグにしか見えません。最後の叫びは爆笑です。
ホラー映画の常識的クイズであがりがちな問題として、「チェーンソーを使って人を殺すホラー映画のキャラクターは?」というのがありまして、「『13日の金曜日』のジェイソン」と答えて間違うのが定番で、正解は「『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス」ですが、ここに訂正が加わるわけです。
「『悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス』以外の『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス」
ここで注意するべきは、“殺す”というところ。これがもしも“襲う”だと4作目の本作も襲ってはいるので該当するわけです。
517円
覚えておきましょう。この役に立たない知識を!!
本作の監督、脚本は1作目でトビー・フーパー監督と共同で脚本を務めたキム・ヘンケル。これが初監督。
この4作目を観ていてね、思うんですよ、なんか僕の知っている『悪魔のいけにえ』ではない。前述したようにレザーフェイスは女子みたいになっていて、人を食わないでピザを食うわ、名物お爺ちゃんはピンピンして立ち上がるし(これはヨボヨボという意味も含むが、いつもの彼より元気ということ、3作目では死体として登場している)、なによりも他の家族の面々が全く存じ上げない人達!ていうか3作目も知らない一家であった。
なのでこの4作目も3作目と同様に1、2作目と関連はなく、ただの独立した1作。
本作の冒頭で長々とテロップで説明されるのですが、簡単に言うと「1~3作目はテキサスのどこかで起こったことで、再び別の一家がその意志を受け継ごうとしていた」みたいな感じです。
本作で謎の要素がありまして、レザーフェイス一家のバックには政府がついていて、何やら陰謀めいたものがあるらしいというのを匂わせてくるんですね。実際に劇中には政府関係の人が突然乗り込んできては意味深な発言をするんです。そして襲われる若者たちを手助けすることなく、一家の殺戮を応援するわけです。かといって最後は主人公によくわからないアシストをしてくれる。
一家と政府の関係を深いところまで踏み込むと時間が掛かるし、主題がズレるからなのかは知りませんが、あまりにも謎が多すぎてこの要素いるかな?と思ってしまいますがご愛嬌。
この映画で確実に触れておかなければならないのはキャストですね。
なんとなんと今やアカデミー賞を受賞した二人の俳優の若き姿をお目にかかれるのです。
1人目はマシュー・マコノヒー。
本作で最もぶっ飛んだ怪演を魅せる。
一家の大黒柱を演じており、若者たちに直接手を下す。
そう、レザーフェイスを差し置いて活躍するのだ。
2011年、テレビ番組『George Tonight』にゲスト出演した際に、当時のオーディションの様子を楽しそうに語っている。
当時のマコノヒー兄さんは大学を卒業したばかりで、本作のオーデションを受けに来た時、カリフォルニアに引っ越そうと計画していたそう。
1作目のオリジナルも観たことのなかった彼がオーディションで読んだセリフは、主人公を最後に助けるオートバイに乗った若い青年で、彼女を乗せて夕日の中へ走り去っていくというシーンでした(この役は最終的に消去されたため劇中では登場しない)。
マコノヒー兄さんがオーディションを去る前に、監督のキム・ヘンケルは彼に尋ねました。
「誰か悪役のヴィルマーに合う人を知らないかな?」
マコノヒー兄さんは演技クラスで一緒だった友人を二人提案しました。
その後トラックに乗り込みカリフォルニアに向けて出発しようとしていたところで、彼は気付いてしまった。
「俺がやりたい」
彼はただちに戻り、ヘンケル監督に聞いた。
「あの、僕がヴィルマーのオーディションを受けてもいいですか?」
ヘンケルはキッチンにあったスプーンを彼に渡してこう言いました。
「それをナイフだと思って私の秘書を怖がらせてみなさい。」
それからオーディションの中盤でこう言いました。
「故障した機械の足をつけているフリをして」
そしてマコノヒー兄さんは狂気のヴィルマー役を勝ち取った。
続いてレニー・ゼルウィガー。
彼女は主人公のジェニー役を演じている。
マコノヒー兄さん演じるヴィルマーと直接対決する場面も多いため、今となっては大変貴重な映像であります。
彼女は本作について2016年のインタビューでこのように語っています。
「とても低予算でした。だからプロデューサーのとても小さいウィネベーゴ(RV車)をみんなでシェアして、メイクは前の席で行って、そこにはテーブルがあって、バスルームの側に小さな仕切りがありました。そこでプロムの衣装とかお花を付けたりしましたね。可笑しかったわ。
どうやってうまくやり通すのかわからなかった。全て合法だとは解っていたけれど。私たちがやったことはほんの少し危険だったけれど、凄い経験だったわ。カミカゼフィルムメイキングでした。」
2年後の1996年にマシュー・マコノヒーは『評決のとき』、レニー・ゼルウィガーは『ザ・エージェント』でそれぞれブレイクを果たす。
彼らは同じエージェント会社に所属していました。
本作の権利を所持していたソニーがリバイバル上映の話を進めていたところ、エージェント会社はそれに反対して法的措置を取ると脅してきたとのこと。二人が売れたからネームバリューを利用して利益を搾取しようとしたことが気にくわなかったのだ。
さらに、もしもソニーが再上映した場合、今後一切二人はソニーの映画に出ることはないとまで言い放ちました。
しかしソニーは法的な問題をクリアにして、1997年の9月に期間限定で公開したのでした。
ちなみにマシュー・マコノヒーとレニー・ゼルウィガーのデビュー作は共に『バッド・チューニング』(1993)である。
『リターン・オブ・ザ・キラー・トマト』(1988)のジョージ・クルーニーなど(といいつつ彼しか思いつかない)、駆け出しの頃にB級映画に出ている俳優さんは応援したくなりますね。
あっ、それこそ『悪魔のいけにえ3』でマコノヒー的ポジションを演じたヴィゴ・モーテンセンがいましたね。
アラゴルンがレザーフェイスと暮らしてたんですよ、たまったもんじゃありませんね。
『悪魔のいけにえ』4作目を全力で演じ切る二人に注目して、それしか注目どころがありませんので、そこを楽しみたい方は本作をお勧めしたいものです。
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①ラストの病院のシーンでは、1作目から三人のキャストがカメオ出演している。お爺ちゃん役を務めたジョン・ドゥガンが警察役を、担架を押している用務係を、ヒロインの兄フランクリン・ハーデストリー役を演じたポール・A・パーテイン、そして担架で運ばれる患者を演じているのはヒロイン、サリーを演じたマリリン・バーンズである。なお彼女は“Anonymous”とクレジットされており、スペシャルゲスト感を出されている。レニー・ゼルウィガーを睨みつける目は意味深である。
②1作目と2作目でドレイトン・ソーヤー役を務めたジム・シドーに本作のお爺ちゃん役をオファーしたところ断られた。
このホラー映画を生き残る方法
異常者(劇中ではマコノヒー演じるヴィルマー)が運転する車に後ろから追いかけられながら生身で走っている時、左右に森林がある場合はそこに逃げ込むべし。なぜ彼は真っ直ぐと道を走り続けたのか、不思議でたまらない。自ら轢いてくださいと言っているとしか思えません。
もちろん左右に隠れる場所が何もない場合は諦めましょう。
死に様を盛り上げる方向で潔く死を受け入れましょう。
上記は基本事項として、この一家の場合、逃げるよりも仲良くなった方が賢明かと思えるので1週間ほど家に住ませてもらい、買い出し手伝うよと提案して逃げるのがいいかなと思います。
ごめんなさい、深夜から朝方に書いているので、眠さと葛藤してあんまりいいアイディアが浮かびません。
寝ます。
498円