ミャンマー
~我、秘境に来たりし旅~
2日目Part1
恐怖とボッタクリと最上級の癒し
旅の目的
未だ開発途上の地域の多いミャンマー。
この国には“秘境”とされる地が多い。
そんな未知なる大地に足跡を残そうではないか。
ミャンマー2日目、
6時30分ごろに起き支度。
本日は世界遺産のバガンに向かいます。
昨日夕食後にフロントでバガン行きバスチケットを予約済み。
一人9,000チャット(≒720円)
若い青年が丁寧で迅速な対応をしてくださいました。
7時45分ごろに朝食会場へ。
ビュッフェスタイルの朝食はかなり美味しかった。
ビーフンとチャーハンは味付けが薄めなのでいくらでも食べられる。
スパイスの効いた味付けのポテトもホクホクで、ポテト大使の私にとっては最高のポテトであった。
ただしスパイスの粉末が固まっているところが塩辛い。
それを中和してくれるのが昨日ウェルカムドリンクでも提供されたエネルゲンである。
部屋のテレビでも、この食事会場のテレビでもサッカーが放映されていた。
ローカルな試合かと思ったら、がっつりチャンピオンズリーグの再放送。
トッテナムやアトレティコの試合である。
映画とサッカーが国民の娯楽なのだろうか。
8時00分フロント集合のためギリギリではあったが、美味しいので全ておかわりして胃に流し込み、万全のお腹でホテルをチェックアウト。
しかしチェックアウトする際に、謎の1,000チャット(≒80円)を請求された。
といっても一人500チャット(≒40円)。
対応してくれたのは、昨晩バスを予約した際の好青年だったが、ドリンク代とか何か言っていたがなんのことやらわからなかった。
相変わらずフロントのテレビでは映画が放送されていた。
これまた渋すぎるチョイス!
ジャッキー・チェンの『拳精』(1978)。
このホテル、人工知能を使って私の好きな物や検索履歴を辿って出来ているのでは??
てっきりホテル前からバスが出るものだと思い込んでいた。
バス乗り場までは小さな乗合タクシーで移動。
まさか先ほどの1,000チャットはこの乗車料金?
※車内からの撮影なので、この写真に映っているのではありません。
この車がまた凄い!
横は手すりが数本ついていて檻のように、後ろは剥き出し。
そして後ろに座っている客のことなどお構いなしで猛スピードで駆け抜ける。
砂埃が凄いので口を覆うものが必要だ。
それがマンダレー式タクシー。
横の手すりにしがみつかなければ殺られる。
急ブレーキをかけた暁には、最後部に座っている人物は100m先の地面へと吹っ飛ばされオリンピック記録更新。
我々のタクシーには、他のホテルでピックアップした欧米のお客さんがすでに2名乗っていた。
これでバス停まで行くという説明は受けていなかったため、まさかこれでバガンまで行く気じゃないだろうなと怯え始める。
発車してすぐにドライバーが車を止め、朝食を買いに行ってしまった。
まるでアトラクションが故障して、発着点どちらにも戻ることができなくなり待たされている感覚だ。
小学生の頃、ディズニーランドのアトラクション『バズ・ライトイヤーのアストロブラスター』に乗車中、途中で故障して乗り物が停止してしまった。
しかしブラスターは機能したままなので、停止中も同じ的に狙いを定め撃ちまくった。
5分ほどしてから再開し、結果的に常人では中々記録できないほどの点数を稼ぐことができた。
待っている間も楽しめる天下のディズニーとは違い、『マンダレーのタクシー』は待っている時だけが安堵できる恐怖のアトラクション。
数分ほどで休憩からドライバーが戻ってきて、もう乗りたくないアトラクションが再開した。
途中、他のホテルで欧米男性1名、そして普通の路上で地元民男女カップル1組を乗せた。
そのカップルはそこそこの荷物(おそらく食材)を抱えていた。
袋の一つから見えるのは数十個入っているであろうパンパンに詰まったミカン。
その時だった。
そんな馬鹿なという現象が車内を襲う。
ドライバーが急ブレーキをかけたのだ!!
その瞬間、目を見張るスピードで何かが吹っ飛んだ!
幸いにも私はその瞬間に備えて、リュックを膝に置き、それを重みにして自分が吹っ飛ばないようにしがみついていた。
どうやら吹っ飛んだのはオレンジ色の顔をした子ども達だった。
後ろを運転する車からしたら『アタック・オブ・ザ・キラーオレンジ』ではないか。
分かる人にだけ分かればいい。
一瞬にして袋ごと吹っ飛んでいったのを車内にいる全員が目撃した。
車内は失笑である。
それに気付いたドライバーが数m離れたところで車を止め、降車してカップルと一緒に拾いに行ったではないか。
優しいのか鬼畜なのか(笑)
そして地元民でもこの鬼畜タクシーに慣れていないのね(笑)
無事にミカンを拾い終えたタクシーは、再び容赦なく走り続けるのであった。
ついにハイウェイに入ってしまった。
こりゃまずい。
ワタシタチノッテマスケドモ~~~~~
道がデコボコしていないだけマシだけど。
ようやく恐怖のタクシーから解放され、バスに乗り換える。
乗客は欧米の人と地元民が半々くらい。
リクライニングを倒す時に後ろの人に許可を取る。
これは日本人しかしないのだろうか。
どこの国に行っても突然倒される。
前に座っていた人は先ほどのタクシーで私の右隣にいた欧米人男性。
案の定、突然倒してきた。
2年前にタイのバンコクからスラターニへ向かう夜行列車では、前に座っていたインド系のおばあさんに勢いよく倒され、私のテーブルがぶっ壊れるという珍事が起こった。
前の方が倒すとさすがに狭くなるので、私も倒さざるを得ない。
私の後ろはどうやらミャンマーの方。
許可を取ると、笑顔でいいよと言ってくれた。
ちなみにこの人、イヤホンをせずに大音量でラジオを聞くタイプの人。
ミャンマーで人気の音楽は、アップテンポなJ-ポップにどことなく似ている。
歌詞は分からなくともキャッチーなため、メロディーをすぐに口ずさめる。
途中途中で地元の方が乗ってくる。
修学旅行用席ですね。狭そう。
電車ならわかるけども、バスにも売り子が来るのね。
車内混み合っております。
気持ちよさそう。
綺麗に並べてらっしゃる。商売上手そう。
中間地点の町
ミンギャンで休憩。
食事処もあり、他の乗客は何か食べている人もいる。
コーラを1,000チャット(≒80円)で購入。
暑さには炭酸飲料が1番。
そんなに穴って掘れるんですね。
何を造るんでしょうか。
X-MENよりも強そう。
ここのトイレは和式スタイル。
桶と水の溜まった容器が横に備え付けられており、それでお尻を洗う式ですね。
大ベン・ケノービはする気はないけれど、そもそも流し方が分からない。
ノズルもついていないし、どうすればいいのだか。
小ベン・ケノービも諦め退散。
助けてオビ=ワン・ケノービ、あなただけが頼り。
予想よりも早く、13時30分ごろにバガンに到着した。
バスを降りると、この旅一番の暑さが肌に直撃。
40度近くあるだろう。
肌が痛い。
早くホテルに向かわねば。
あの恐怖の乗り合いタクシーも目に入った。
10人ほど乗っていたが、このバスターミナル着なのか、発なのかはわからない。
混雑するターミナル。
暑すぎる。
何でもいいから乗せてください。
と思っていると、声を掛けてきたのはいかにも怪しい目つきの男。
かなり必死で取り込もうとしてくる。
今すぐ涼しい車内に入りたいのでホテル名を伝える。
15,000チャット(≒1,200円)でどうだい?
高すぎる。
マンダレーからバガンまでの長距離を二人で18,000チャット(≒1,440円)で乗ってこれたのに、なぜホテルまでの短距離を15,000チャットも払わなければならないのだ!!
ここから私の値段交渉が開始。
続いて13,000(≒1,040円)を提示。彼が私の電卓を触りだした。
そこに表示された数字は14,000(≒1,120円)。
もういい、その額で。
ターミナルで声をかけてくる輩などボッタクリ族に決まっているのだが、この暑さでどうでもよくなる。
わずかな交渉の間にも汗が溢れ出した。
一人7,000チャット(≒560円)
彼は自分のタクシーまで案内してくれたのだが、そこで決定的ボッタクリの瞬間を目にした。彼は他のタクシードライバー仲間に、視線を送りニヤついたのだ。
後ろからでも口角が上がるのがわかったくらいだ。
まるで「いいカモが釣れたぜ」と顔で語ってるかのように。
このドライバー誰かに似ているな、と脳内を回転させ記憶を絞り出したが、暑さで脳みそが溶けているため今は思い出せない。
そして現在思い返してみてわかった。
ヨサクとジョニーだ。
『ワンピース』の初期に出てくるキャラクター。
そう、彼はジョニーの方。
視線を送ったのはヨサクかもしれない。
ジョニーは車内でも様子がおかしかった。
ジョニーの4つの異常な行動
①金縁のサングラスを装備
乗車とともに、いかにもなサングラスをかけたジョニー。
本日最初のカモなのか、気合が感じられる。
②言わないと冷房をつけない
涼しい車内を期待した私が愚かであった。
③観光案内をしようとする
用意してあったマップを手に取らせ、今日と明日の予定を聞いてくる。
これはあのパターンだなと予想がついた。
明日ポッパ山にツアーで行く予定なのだが、ホテルからそこまで私が運転してあげるよと言い出す。
しまいにはツアーなんてないよと言い始めた。
典型的ボッタクリパターンである。
ムニャムニャとたどたどしい英語を話す彼は、正直何を言っているのか半分は聞き取れない。
とにかく全ての誘いを断り続ける私。
④後ろを見てくる
ボッタくるのに必死で、運転中に前を見ないで逐一後ろを見てくる。
そのためその都度、「前を見て!危険だから!」とツッコむ私。
車の少ない通りではあるが、危険運転は勘弁である。
雑なジョニーを見て、ボッタクリの技術をもっと上げた方がいいのではと思った。
しかしながらそんなジョニーが愛おしい。
だってミャンマーで初めて出会ったボッタクリマンだもの。
結果、この旅唯一のボッタクリマンでもあった。
いや、後々考えると他にも心当たりがなくもないが、あの時私は死にかけていた。
そう、今後私に降りかかる地獄をこの時は知る由もない。
ジョニーの車窓から、アウンサンスーチー。
見えてきました、我々の宿泊先
『ミャンマー・ハン』。
ジョニーもニコニコでココココ~とヘラヘラー。
約束の
14,000チャットをジョニーに納める。
綺麗なリゾートホテル!
バガンのお宿
『Myanmar Han/ミャンマー・ハン』
1泊ツインルーム25,272チャット(≒1,896円)
朝食込み。
1人948円の安さではあるが、この旅一番の高級ホテルである。
高得点連発ですね。
案内もしっかりしております。
何ですか、この最上級ホテル。
部屋から飛び込んでプールに入りたい。
バックパッカーだってこんなところに泊まれるお財布にやさしいお国、それがミャンマー。
ミャンマー製の映画が放映中。
水は最初から入っていたため、心配なので飲みません。
ミャンマーではこのミャンマー産ネスカフェのインスタントコーヒーが主流で、レストランでもこれが出てくるところもあるそう。
ミャンマーは電力が弱いので頻繁にブレーカーが落ちる。
エアコンがかなり電力を使うので、他を節電。
とりあえず暑さのピークが過ぎるまで休憩。
バガンの名物である夕日を見に行くのが本日の目的。
ホテルで電動バイク(通称E-バイク)を借りることができるので、それで遺跡周りをツーリング。
免許が必要なく、誰でも簡単に乗れるらしい。
そろそろ戦いに備えよう。
『コマンドー』を思い出しながら皮膚のダメージを避けるため日焼け止めを塗りまくり、『コマンドー』を思い出しながら怪我防止のためウィンドブレーカーを履き、『コマンドー』を思い出しながら砂埃から口を覆うためのバンダナを首に巻き、『コマンドー』を思い出しながら小カバンに包帯をいれる。
二人とも車の免許はあっても原付すら乗ったことがないのだ。
ホテル内で少し練習させてもらおう。
気合を入れ、いざフロントへ。
残念ながら、バイクは今1台しかありません。
2人乗りも可能ですが、初めての人には危ないのでおすすめはしません。
「乗るのはやめておきなさい!」と天からの聖なるメッセージとして素直に受け止めて、親切で綺麗な女性スタッフにホテル発のシャトルを紹介してもらった。
次のシャトルは17時00分。
その予約と、明日のポッパ山行きツアーチケットと、明日のヤンゴン行き夜行バスのチケットを購入。
ポッパ山ツアーチケット
⇒10,000チャット(≒800円)
ヤンゴン行きバスチケット
⇒13,000チャット(≒1,040円)
後ほどシャトルに乗る前に正式なチケットを渡すので、とりあえずこの手書きのペーパーが引換券ということで渡された。
お金は先払い。
よくわからない心配なシステム。
現在15時00分頃。
部屋に戻り、装備を外すのであった。
そして身軽になった身体を、しばらくフカフカのベッドに沈めるのであった。
17時00分になり、フロントで待つ。
女性スタッフによると、シャトルは17時15分に来るらしい。
ドリンク安いですねぇ。
いざ、バガンの夕日を見に行こう!
次回予告:太陽を創る男
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