『ゼイリブ』(1988)~社会の本質が見えるサングラス~

SF
映画を見れば誰かと共有して話したくなる。
しかし話す人がいない。
そんな映画愛好家は世界中に山ほどいることだろう。
私もその一人。
そこで私は独自の感想をネタバレ含んでただただ長々と述べる自己満駄話映画コーナーを創設した。
お役に立つ情報は一切なし!
しかし最後まで読めばきっとその映画を見たくなることでしょう。
さぁ集まれ映画好きよ!

今宵の映画は…
NJ
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世の中の笑えない可笑しな点を笑う映画です

ゼイリブ

原題
They Live
公開
1988年
製作国
アメリカ
監督
ジョン・カーペンター
『ハロウィン』(1978)
『遊星からの物体X』(1982)
出演
ロディ・パイパー
キース・デイヴィッド
『遊星からの物体X』(1982)
脚本
ジョン・カーペンター
原作
レイ・ネルソン
編集
ジブ・ジャフィ
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
フランク・E・ジメネス
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
音楽
ジョン・カーペンター
アラン・ハワース
『ニューヨーク1997』(1981)
撮影
ゲイリー・B・キビー
『ロボコップ3』(1993)
かけると世の中の仕組が見えるサングラスを手に入れた男が戦いに挑む

ほのぼの感想&解説

“本質”が見えてしまうサングラスを手に入れた主人公のナダ
“Nada”とはスペイン語で“何も”という意味である。
つまり英語だと“Nothing”
その名の通り彼は何も持っていない。
この頃のアメリカは不景気で貧富の差が広がっていた。
住むところもないナダは、なんとか日雇いの仕事に就き、そこで出会ったフランクにホームレスの集まるキャンプを紹介してもらう。
そこでテレビを見ていると、突然謎の映像が流れる。
「我々の暮らしている世界は人工的な仮眠状態にされています。あるグループが信号を発信して抑圧的な社会を作り上げています。彼らの目的はあなた方の意識をなくすことです。人々を欲に目をくらませ、“物質主義者”に仕立てあげることです。彼らは自分たちが生きるために我々を眠らせ、欲に狂わせている。我々は“奴隷”にされているのです。」
電波がジャックされ、度々この映像が流れる。
80年代の映画だが、嘘か真実かわからない情報を流すメディアに翻弄される実情は、現在の我々も反映されているのだ。
そんなキャンプ場の近くにある教会で、不審な行動をする人物たちが出入りをしていることに気付いたナダは侵入を試みる。
そこでサングラスが大量に入った段ボール箱を手に入れる。
このサングラスをかけると、普通のおばちゃんがエイリアンに見えます。
エイリアンは正体がバレないようにするため、テレビ局から電波を発してメディアを操作しているため、日常に潜むエイリアンの姿は人間にしか見えない。
サングラスをかけて人以外を見るとどのように見えるのだろうか。

お金にはこう書かれている。

“これはあなたの神”

 電化製品の広告は、“従え”に変わる。

バカンス広告は、“結婚して生産せよ”に変わる。

町に溢れた広告は、様々な手段で我々から金を巻き取ろうとする目的で作られている。

そんな“社会の本質”がサングラスをかけると見えるのだ。

資本主義経済で成功を収めたエイリアンには、それを人間に知られては困る。

しかし人類を支配しようとするエイリアンに対抗すべく開発されたのがそのサングラスである。

つまりこの映画の本質は、人や社会を欺いてでも成功を収めたい人物への批判、そしてとにかく質より金になればいいという物質主義的考えのもと物を売る企業批判が含まれている。

さらにテレビ番組では、ゾンビの生みの親であるジョージ・A・ロメロや、本作の監督であるジョン・カーペンターの映画は暴力的すぎると批判されている。

このセリフを監督自身が加えているのも笑えるのだが、

いつの時代も映画の暴力描写を現実として捉えてしまう愚か者がいるのです。

そんなものに憧れて影響を受けて実際に行動に移してしまう奴は、確実にそいつ自身に問題がある。

結び付けやすい映画のせいにしないでおくれ。

いい意味で行動に移すのが早いのが本作の主人公ナダ。

サングラスを手に入れてからの、社会の仕組みに対しての理解と、それに対しての反発心からの行動力が凄まじく早いのでスカッとする。

最後はそんなナダが命にかえてテレビ局の電波塔をぶっ潰す。

そして人類に潜むエイリアンの化けの皮は剥がれていくのであった。

その姿を見て、人間は非難を始める。

今まで見えなかった物事の真実が自分の目で見えた瞬間に批判を始める。

匿名で言いたい放題。

YahooニュースやYoutubeなどの品のないコメント。

なぜ匿名にする必要があるのか。

個人情報を公にしなければコメントできないようにしたらいい。

そもそもなぜ書き込む?

日常生活で自分の意見を言えない社会、

そして言おうとしても圧力をかけられ潰される社会にも問題がある。

そのハケ口になるのが、SNSなのだろう。

生身の身体を隠して裏では何やら怪しい行動をしている。

まさに本作のエイリアン。

いつまでも時代は変わりませんね。

インターネットでの情報収集が当たり前の時代になり、欲しい情報はいくらでもはいるようになった。

あなたも騙されていませんか?

そんな注意喚起であり、警告でもある人生のシグナルのような映画です。

しかし見えてない時点で否か真か判断するのはなかなか難しい。

時には騙されてもいい時もあるかもしれない。

社会と共に生きることは本当に大変だ。

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明日自慢できるトリビア

ナダ役のロディ・パイパーは、プロレスラー出身。

前年の1987年を最後に引退して俳優に転身し、1988年の本作に主演。

翌年にはWWF(現在のWWE)に復帰している。

2015年7月30日61歳で亡くなった。

ナダフランク5分20秒に及ぶ長尺の殴りあいタイマンシーンは、
ジョン・カーペンター監督の製作オフィスのバックヤードで振付と演出のリハーサルが行われた。
当初は20秒ほどのシーンの予定であったが、ナダ役のロディ・パイパーとフランク役のキース・デイヴィッドは、顔面パンチと股間キックはフェイクで、それ以外は本気でやりあうことに決めた。
彼らは3週間もの間、練習をした。
カーペンター監督はその姿勢に感銘を受け、当初よりも5分長くそのシーンを使うことに決めた。
カーペンター監督は、自身の1982年公開の映画『遊星からの物体X』に出演したキース・デイヴィッドの演技に感銘を受け、本作で彼のためにフランクの役柄を書き上げた。
参照サイト: IMDb

一言教訓

何事も疑え。

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