世の中の笑えない可笑しな点を笑う映画です
ゼイリブ
ほのぼの感想&解説
お金にはこう書かれている。
“これはあなたの神”
バカンス広告は、“結婚して生産せよ”に変わる。
町に溢れた広告は、様々な手段で我々から金を巻き取ろうとする目的で作られている。
そんな“社会の本質”がサングラスをかけると見えるのだ。
資本主義経済で成功を収めたエイリアンには、それを人間に知られては困る。
しかし人類を支配しようとするエイリアンに対抗すべく開発されたのがそのサングラスである。
つまりこの映画の本質は、人や社会を欺いてでも成功を収めたい人物への批判、そしてとにかく質より金になればいいという物質主義的考えのもと物を売る企業批判が含まれている。
さらにテレビ番組では、ゾンビの生みの親であるジョージ・A・ロメロや、本作の監督であるジョン・カーペンターの映画は暴力的すぎると批判されている。
このセリフを監督自身が加えているのも笑えるのだが、
いつの時代も映画の暴力描写を現実として捉えてしまう愚か者がいるのです。
そんなものに憧れて影響を受けて実際に行動に移してしまう奴は、確実にそいつ自身に問題がある。
結び付けやすい映画のせいにしないでおくれ。
いい意味で行動に移すのが早いのが本作の主人公ナダ。
サングラスを手に入れてからの、社会の仕組みに対しての理解と、それに対しての反発心からの行動力が凄まじく早いのでスカッとする。
最後はそんなナダが命にかえてテレビ局の電波塔をぶっ潰す。
そして人類に潜むエイリアンの化けの皮は剥がれていくのであった。
その姿を見て、人間は非難を始める。
今まで見えなかった物事の真実が自分の目で見えた瞬間に批判を始める。
匿名で言いたい放題。
YahooニュースやYoutubeなどの品のないコメント。
なぜ匿名にする必要があるのか。
個人情報を公にしなければコメントできないようにしたらいい。
そもそもなぜ書き込む?
日常生活で自分の意見を言えない社会、
そして言おうとしても圧力をかけられ潰される社会にも問題がある。
そのハケ口になるのが、SNSなのだろう。
生身の身体を隠して裏では何やら怪しい行動をしている。
まさに本作のエイリアン。
いつまでも時代は変わりませんね。
インターネットでの情報収集が当たり前の時代になり、欲しい情報はいくらでもはいるようになった。
あなたも騙されていませんか?
そんな注意喚起であり、警告でもある人生のシグナルのような映画です。
しかし見えてない時点で否か真か判断するのはなかなか難しい。
時には騙されてもいい時もあるかもしれない。
社会と共に生きることは本当に大変だ。
明日自慢できるトリビア
①ナダ役のロディ・パイパーは、プロレスラー出身。
前年の1987年を最後に引退して俳優に転身し、1988年の本作に主演。
翌年にはWWF(現在のWWE)に復帰している。
2015年7月30日、61歳で亡くなった。