『ブレスレス』(2019)~SMプレイで蘇る人生~

ラブストーリー
映画を見れば誰かと共有して話したくなる。
しかし話す人がいない。
そんな映画愛好家は世界中に山ほどいることだろう。
私もその一人。
そこで私は独自の感想をネタバレ含んでただただ長々と述べる自己満駄話映画コーナーを創設した。
お役に立つ情報は一切なし!
しかし最後まで読めばきっとその映画を見たくなることでしょう。
さぁ集まれ映画好きよ!

今宵の映画は…
NJ
NJ

生きてる!!

ブレスレス

原題
Dogs Don’t Wear Pants
公開
2019年
製作国
フィンランド
ラトビア
製作
アレクシ・バルディ
ヘレン・ビノグラードフ
監督
ユッカペッカ・バルケアパー
脚本
ユッカペッカ・バルケアパー
出演
ペッカ・ストラング
『トム・オブ・フィンランド』(2017)
クリスタ・コソネン
『ブレードランナー 2049』(2017)
編集
メルヴィ・ジャンコーネン
音楽
マイケル・ネチェック
撮影
ピエタリ・ペルトラ
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一行粗筋

妻を亡くした旦那が偶然立ち寄ったSMクラブで首絞められたら妻と再会できちゃった物語。

ほのぼの感想あるいは解説

これはSM入門編にいいかもしれないと思い、1月3日、まだお正月でしたね、景気がいいので観に行きました。『スワロウ』と二本立てしましたが、そちらを後に観たので重たい気持ちでその日を終えました…。

更新を怠っていたのでこの時点での投稿となります。

正直なところ、SM要素よりも予告に惹かれましたね。

SMプレイの一環で女性に首を絞められた中年男性が、気絶した後に亡くなった奥さんに再会できるという哀しきファンタジーに心奪われました。

いざ本編を鑑賞すると、今年のベストを争うであろう出来。

こりゃたまげた。

なんたる感動。気持ちがいい。(SMプレイ後の感想ではありません)

まず、S担当モナの登場シーンが格好いいことなんの。

後ろからズンッ!!

「待ってました!!モナ様!!!」

ここでピッチピチの全身皮ジャンのきしむ音に興奮を覚えます。

黒髪ショートもウィノナ・ライダーがチラついて萌えます。

この時点で大吉です、初詣を控えてこちらに参ってよかったです。

たまりません。

映画を観ながらこのプレイはしてみたい、これはしたくないかなぁと変態心がソワソワしました。

モナに首絞められたい。

首輪繋がれて犬として扱ってもらいたい。逆に犬として扱いたい気もする。

でも抜歯は嫌です。その後ワンコに歯を食べられたくもないです。

ロウソクの刑も嫌です。

最初はただのビジネス関係であった中年男性ユハに、徐々にモナの心が動いていくんですね。

解放されていくんです。

でも映画はあくまでユハに焦点を置いているので、彼女のバックグラウンドは描かれません。

気になりますが、あえて見せないことで興味とミステリアスさが増して私自身もモナに惹かれていきます。

彼女も彼女で悲しみを抱えています。

それを隠してSを装って(本当にSかもしれないが)担当しているのです。

逆にそこ見せなくてもいいんだけどなぁというのがありまして、ユハの娘の物語ですね。

不良少女なんですが、お父さんは娘に同伴してタトゥーをいれさせてあげるほど自由奔放に育てているので理解あるわけです。

そのためそんな娘と特にぶつかるわけでもないので、ユハとモナに絡んでもきません。

単体で娘の青春ストーリーが断片的に描かれます。

しかしながらこの娘のエピソードを挟むことで、ユハとモナの切ない物語が途切れるので観ている側の気の緩みには繋がるわけです。

最後にユハが自分を解放するんです。

SMクラブに入る際の検問所を堂々と通過するわけです。

「This is me」と言わんばかりに装備ばっちり。

高級レストランに入る際にドレスコードがあるように、クラブに入る際にもそれ相当の衣装着用が必要なわけです。

SMクラブの中ではあちこちでセックスしているんですね。

いいですね、人の目を気にせずに自分本来の姿を見せられる場所。

匿名で誰かを傷つけている暇があるのなら、その時間で人生を楽しもうではないか。

変態にはいろいろな種類がいますが、基本的に楽観主義ですからね。

自分の中の変態を曝け出して生きるのは中々難しい世の中というか、曝け出す必要は特にないので、この映画のように自分を曝け出せる場が常にあれば気楽ですよね。

そして場所だけでなく、ユハに対するモナのような理解者も欲しい。

人生は言葉に惑わさられることも多々あるので注意が必要です。

言葉を介さずしての理解が、この映画では文字通り痛いくらいに痛みを伴ってSMを介して表現されています。

映画だからこそ感じられる映像表現、映画っていいよね。

どこかに理解してくれて、通じ合える人がいるということを感じながらディープブレス。

「生きてる~~!!」

ラストの踊りながらのユハの満面の笑顔からはそんな爽快な心情が伝わってくるのでした。

そんなモナも彼を見てニヤリと笑顔で応える。

「私も生き返ったよ、あんたのおかげで」と言ってるような表情で。

そのままフィニッシュ!!!

こりゃあ早く再鑑賞したい1本です。

孤独を癒してくれるのが“人間”っていうだけで素晴らしく感じてしまいます。

行動を起こしても孤独になる可能性はあるけれど、じっとしていたら孤独でしかない、生きるのは辛くも楽しい、その繰り返し。

否定でも肯定でもなく、自然体で本能と心がぶつかり合える相手は本当に大切にした方がいい。

そう簡単には出会うことはできませんが。

出会うことができないからこそ。

一言教訓

絶望のあとには希望が待っている

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