子供の頭の中を映像化したような可愛い描写の連続に惚れ惚れ
ムーンライズ・キングダム
ジェレミー・ドーソン
スティーヴン・M・レイルズ
スコット・ルーディン
カーラ・ヘイワード
ブルース・ウィリス
エドワード・ノートン
ビル・マーレイ
フランシス・マクドーマンド
ティルダ・スウィントン
ジェイソン・シュワルツマン
ボブ・バラバン
一言粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
私のお気に入り監督ウェス・アンダーソン。
私はよく子供時代にLEGOで独自の物語を創り、ミニフィグを1個1個動かしながら遊んでいました。
その遊びと自分の頭の中を映像化してくれたかのような作品の数々。
大人が本気を出して子供の遊びをしているような感覚。
近年の作品はより洗練されてきているので尊敬の眼差しで見つめております。
その中でも本作は私のオールタイムベスト級であります。
私がもしも映画を作るなら必ずこういった作品を1本は作りたいお手本的映画。
どこを切り取っても絵になるショットの連続。
キューブリックのような左右対称の絵作り好きなんだなぁ。
奇妙さとコミカルさを同時に目で楽しめるので、これから何か起こるんだろうなぁという期待を煽ってくれる。
動画として流し見してしまうのがもはや勿体なく感じてしまうほどに、静止画として大人しく眺めていたいものである。
とはいったものの動画としてのミニチュア使いは神がかっている。
ミニチュアのコマ撮り…まさに私が子供時代にLEGOでしてみたかったことじゃないか。
そして美しい色彩と淡い照明の使い方。
個性的なキャラクターに衣装と小道具。
解り易く丁寧に描かれる漫画のようなプロット。本作だと主人公の少年がやたらと自信があり行動に迷いがないところが清々しい。
また、一目惚れした女の子へのアプローチが早くて素直で初々しさが感じられないため、妙に大人びている子供なのだ。
本作はまさに作り手が楽しんでいることが分かる愛の詰まった芸術である。
奥行きの使い方も抜かりがない。どこを観ていても楽しめるように考えられた造り。
そんな何度見ても美味しく頂ける作品です。
さらに毎度癖のあるキャストが目を潤す。
本作では『アメリカン・ヒストリーX』(1998)、『ファイトクラブ』(1999)のエドワード・ノートン、『ダイ・ハード』シリーズのブルース・ウィリス、『ファーゴ』(1996)、『スリー・ビルボード』(2017)のフランシス・マクドーマンド、『少年は残酷な弓を射る』(2011)のティルダ・ウィンストン、
終いには『レザボア・ドッグス』(1992)、『ピアノ・レッスン』(1993)、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)のハーヴェイ・カイテルが出てくるため、何か異常な事態が起こるのではないかと思いきや、逃避行した少年少女を探すのにあたふたはするが、彼らの過去の作品群とは比べ物にならないほどに極めて平和で愛らしい展開が続く。
特にエドワード・ノートンの頼りないけれど必死なさまと、ブルース・ウィリスの人としては見習えないことばかりしているけれどメンターとしての心強さがある演技が笑いを誘う。
今見るとこの人も出ていたのかと思うのは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)、『レディ・バード』(2017)、『スリー・ビルボード』(2017)、『ある少年の告白』(2018)、『ベン・イズ・バック』(2018)、『Mid90s ミッドナインティーズ』(2018)、『ハニーボーイ』(2018)、『WAVES/ウェイブス』(2019)など最近話題の青春ものに必ず出てくるルーカス・ヘッジスくんですね。
それにしても解り易いくらい波に乗ってる作品数!
本作ではまだ幼い少年なんですが、顔が変わらないからすぐ判る!
ちなみにアンダーソン監督作だと他に『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)にも出演している。
そしてもちろん常連のビル・マーレイおじさんも出てるよ!
相変わらずやる気なさそうで気怠さがたまらない。
本作はアンダーソン監督が大好きな『小さな恋のメロディ』(1971)を本質的にリメイクした作品であり、かなり影響を受けたと公言している。
とにかく全編見せ場の大傑作!
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①ウェス・アンダーソン監督作常連のオーウェン・ウィルソンが初めて出演しなかった作品である。
②撮影の間に主人公の少年を演じたジャレッド・ギルマンは、ビル・マーレイにネクタイの締め方を初めて教わった。
③ビル・マーレイの6度目のアンダーソン監督とのコラボである。