幸せへのまわり道
マーク・タートルーブ
ピーター・サラフ
リア・ホルツァー
ノア・ハープスター
トム・ハンクス
クリス・クーパー
一言粗筋
ほのぼの感想あるいは解説
最近、自分の感情について深く考えている。
怒りを抑える方法を研究していた。
この映画で確信に変わった。
自分の過去から逃げずに今の自分を認め、自分を知ることが重要である。
過ちを繰り返して、逃げて、認めず、否定して、怒りの感情に身を任せて相手のことを考える余裕を消失して我も見失って人間関係を崩壊させる。
そしてそれにより後々後悔と罪悪感が自分を襲う。
それが現状の私。
しかしながら感情の整理をして、怒りを許しに変えられてから本作を観てよかった。
そうでなければ自分の歪んだ心がこの作品の教訓を悲観的に捉え、捻くれながら自己肯定的考えを前面にして否定していたことだろう。
さらに自分を見つめ直している間に様々な作品を経て、“まわり道”をしてから本作を観に行ったことも功を期した。
“許す”ということは、不思議なことに愛しているほどに許すことが辛い。
愛しているからこそ怒る。どうでもいい相手に怒ることはない。
ただし人それぞれ感情に違いがあるわけで、タイミングや波長が合わないと関係は悪化するばかり。
それでも核の部分に愛情があれば最終的に相互理解はできるはず。
私にはそのような関係の人がいない。
それは何故か。
自分の心が開いてから、何かしらダメージが与えられそれらが蓄積していくと、中に閉まっている悪が解き放たれてそれを抑制する方法を知らないがために心が暴れて相手を傷つけてしまうから。
何度も恋愛関係をぶち壊してきた。
自分は怖くなると怒りに訴える。
しかしそのことにより自分も辛い思いをするのに、危険な心をもつ自分を滅ぼすことはできないのだ。
だってこれは過去の自分の歩みによって形成されたものだから。
そのため共に生きていくしかない。
大切な人を失った今だからこそ、私は自分の感情をコントロールする方法を身につけようと真剣に思った。今まで逃げていたことに素直に向き合う覚悟ができた。
そこでタイミングよくこの映画の公開だ。
本作は1998年11月1日に出版されたエスクァイア・マガジンの『Can You Say…“Hero”?』という記事を基に映画化している。
トム・ハンクスが演じるフレッド・ロジャース(1928年3月20日~2003年2月27日)は、アメリカの子供向け番組『Mister Rogers’ Neighborhood』(1968~2001)の司会者。
2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)がロジャースに、子供の教育に貢献したとして大統領自由勲章を授与した。
「フレッド・ロジャースはテレビ番組が、心を落ち着かせ、精神を育み、幼い子供にでも教えることができると証明した」と述べている。
この番組を日本に例えるならば、世代的に『ハッチポッチステーション』(1995~2005)だろうか。
いや、少しファンキーすぎるかな。
度々登場するミニチュア描写は、不思議と精神を子供時代の自分に戻してくれるリラクゼーション効果を感じた。
本作の主人公は結婚して子供もいるが、なにか空虚さが漂う雑誌記者として働く男。
母親を病で亡くし、その件で父親を恨んでおり確執がある。
彼もまた過去に囚われつつも隠して逃げている。
しかし苦しみからは逃げられない。
そして怒りの感情を制御できず周りに迷惑をかけてしまう。
トム・ハンクスは本当に芸達者。
ロジャースは子供番組司会者としての仕事に日頃の自分を持ち込まず、演じることで感情を体現する。
彼は自分の過去と向き合い、怒りを抑え込む方法を取得したのだ。
トム・ハンクスが出ていれば安心感に包まれる。
セリフに説得力が生まれ、優しく説教をされている気分になるが、決して悪い気はしない。
むしろ自分の言葉で説明できない感情を代弁してくれて「ありがとう」の気持ちが芽生える。
人間の心理は考えることはできても中々言葉では表すのが難しい。
そしてそれが理解できていれば関係にヒビは入らないし、亀裂が入ったとしても修復は出来る。
ロジャースはこう提案する。
「1分間だけ目を閉じて、今まで愛を培ってくれた人のことを考えてごらん。」
騒がしいレストランに静寂と沈黙が訪れる。
観客にも1分間与えられる。
ここまで何度かお腹が鳴ってしまったので、「これはまずい!」と思いましたが、この時ばかりは気にせずしっかりと私も考えました。一瞬目も瞑りました。
1分で1人の人間との全てを振り返った。
するとトム・ハンクスはこう言っているかのように私を見つめていた。
「君は自分を許して、その人への愛を忘れず、これからを生きればいい。」
私の“まわり道”はこれにて終了。
何度、映画は私を救うのだ。
一言教訓
明日自慢できるトリビア
①フレッド・ロジャースの妻ジョアンは本作でコンサルタントを務めている。トム・ハンクスが劇中で身につけているネクタイは夫が使っていたものである。
②トム・ハンクスが実際の人物を演じるのは本作で9度目である。
③トム・ハンクスがこの映画について初めて聞いたのは10年前であり、原稿を読んだのは8年前である。
NJ映画日記Vol.26
ここでは最近見た私にとって良くも悪くもそんなに書くほどでもない映画を1つご紹介したりしなかったり。
この記事のタイトル映画とは一切関係性はございませんので悪しからず。
ジャンルくらいは合わせようかと思っています。
ただの筆者の日記です。
さらりと流す程度にご覧いただければ幸いです。
彼らは生きていた(2018)
ピーター・ジャクソンが監督を務める。
帝国戦争博物館が所有する第一次世界大戦の映像を利用して製作され、音源はBBCとIWMが所有する実際に戦闘に参加したイギリス軍人のインタビューが用いられている。
確かに彼らがそこにいる。
白黒だと資料映像として脳が反応してしまいますが、色がつくことで臨場感を生み、人々が生き生きとしている。
捕虜との触れあいや一時の楽しみなど、経験された方々が語る戦争をしていない間の戦地での過ごし方の話は貴重。
同じ時代に、同じ国に生きていても“直接”戦争を経験することのなかった人々もいる。
人を理解するのに同情は必要ない。
所詮は他人事…では終わらせてならない事もある。